糖尿病性腎症は、人工透析になる原因の中で1番多い病気です。
糖尿病性腎症になるとどうなるの?
糖尿病になってから10~15年以上かけて、ゆっくりと腎臓の働きが落ちて発症することが多いと言われています。
糖尿病腎症の軽症の期間は非常に長く10~20年あります。
しかし、ある程度腎臓の働きが悪くなる(eGFR 30未満)と、進行は一気に速くなり、2~5年で人工透析に至ります。
いったん人工透析が始まってしまうと、5年以内に心不全などが原因で約4割の方がお亡くなりになってしまいます。
腎臓の働きとは?
腎臓の働きは、血液中の老廃物や塩分を「ろ過」して尿として身体の外に排出することです。
この働きをしているのが糸球体です。
細い毛細血管が毛糸の球のように丸まってできているので「糸球体」と呼ばれ、1つの腎臓に約100万個の糸球体があります。
腎臓は血液を糸球体でろ過し、からだに不要なものは排泄します。
フィルターで不要なものを濾(こ)すイメージです。
糖尿病性腎症とはどんな病気?
アルブミンやタンパク質といった成分は、からだに必要な栄養素なので、正常な腎臓から尿に排泄されることはありません。
しかし、高血糖状態が続くと、血管が傷ついてフィルターも壊れてしまい、正常ならろ過されないタンパク質などが尿に漏れ出てきます。
さらには、からだの老廃物も排出することができなくなり、毒素となって身体に溜まってしまい、最終的には人工透析で体の外に出さないといけなくなる病気です。
糖尿病性腎症の症状とは?
糖尿病性腎症の初期症状は?
初期はタンパク尿が出るのみで、自覚症状が乏しい時期が10~20年しばらく続きます。
糖尿病性腎症が進行すると?
進行すると尿中にたんぱく質が大量に漏出し、浮腫(むくみ)が出現します。
特に「まぶた」のむくみは腎臓の働きが落ちたときのむくみの特徴の一つです。
さらに進行すると、老廃物がからだにたまる状態の腎不全になり、尿毒症の症状がでます。
- 1. 息切れ
- 2. 貧血症状
- 3. 食欲不振
- 4. 疲れやすい
- 5. 夜、おしっこで目が覚める
気になる症状がある場合は、医師に相談しましょう。
糖尿病性腎症と診断するには?
早期発見、診断するには、尿と血液で診断し、重症かどうかを決めます。
尿検査
早期に診断するには、微量アルブミンやタンパクなどが尿中に漏れ出ていないかを調べます。
どのくらい尿中に漏れ出ているかで、糖尿病性腎症の重症具合、透析が迫っているのかがわかります。
血液検査
腎臓の働きが低下すると、フィルターに目づまりがおきて、ろ過できる血液の流量が減ります。
これを糸球体ろ過量(GFR: Glomerular Filtration Rate)と呼びます。
血液検査では、クレアチニンという項目でeGFRの値がわかります。
病気を進行させないようにしましょう
自分の腎臓の働きがどのくらい残されているか?をご理解して、病気が進行しないように医師と相談しながら、生活習慣改善などに努めていきましょう。
人工透析にならないように早期発見、早期治療が大事となります。
定期的に尿検査と腎臓の働きをチェックしましょう。
糖尿病性腎症の治療の基本は?
糖尿病性腎症の治療は、
- 1. 基本は血糖管理と血圧コントロール。
- 2. 特に腎症早期化からの治療がとても大切。
となります。
糖尿病腎症では病期ステージに応じた治療となります。
どのステージでも、血糖と血圧管理が基本です。
コントロールが不良であると、その後の腎臓の働きに影響を大きく及ぼします。
腎症2期までは、厳密な血糖と血圧の管理によって腎症の進展を遅らすことができ、結果、人工透析開始までの期間を遅らせ、防いだりすることができます。
血糖および血圧の目標は下のようになります。
血糖の目標値
- HbA1c 7%未満
- 空腹時血糖130mg/dl未満
血圧の目標値
- 血圧 130/80mmHg未満
- 脳血管障害・冠動脈疾患のある方140/90mmHg未満
- 75歳以上の高齢者の方 150/90 mmHg未満
目標を達成するために、塩分やカロリーなどを抑える食事、有酸素運動、お薬などで管理していきます。
最近のお薬のトピックは、血糖や血圧を下げるのみではなく、腎臓の働きを助けて腎臓を守る作用も含まれているものもあります。
アドバイスを受けましょう
毎日血圧を測定し、測定した値を医師に提出して、血糖やタンパク尿、腎臓の機能の検査結果も踏まえて、方針についてアドバイスを受けましょう。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。