宗岡みらい内科ハートクリニックで行っている心不全訪問診療についてご説明いたします。
対象となる方
心不全訪問診療は、以下に該当する患者さんが対象となります。
- 通院が困難な患者さん
- 頻繁に診察やお薬の調整が必要な患者さん
- 治療抵抗性※1の患者さん
心不全訪問診療の目的
心不全訪問診療の目的は、以下の通りです。
- 心不全進行や症状悪化の予防
- 通院頻度を少なくする、症状悪化による入退院を繰り返させない
- 治療抵抗性(末期)※1の症状を緩和 など
このように患者さんの快適さや健康状態を改善して生活の質(QOL)の向上を目的としています。
また、訪問看護師さん、ケアマネージャーさんなどの介護職の方とチームを組んで、心不全の患者さんを地域で支えていきます。
※1:治療抵抗性(末期)心不全とは?
おおむね年間2回以上の心不全入院を繰り返す、また、お薬の治療やカテーテル治療、心臓手術などを行っても、日常の軽い動作で心不全症状を起こす状態を指します。
心不全緩和ケアとは?
心不全の最終段階における身体症状、精神症状は、がん患者さんと同様に多岐に渡って、生活の質(QOL)低下につながると言われています。
終末期の身体・精神症状
症状 | がん(%) | 心不全(%) |
---|---|---|
だるさ | 23~100 | 43~82 |
痛み | 30~94 | 14~78 |
吐き気・嘔吐 | 2~94 | 14~78 |
息苦しさ | 16~77 | 18~88 |
不眠 | 3~67 | 36~48 |
認知機能低下 | 2~68 | 15~48 |
うつ症状 | 4~80 | 6~59 |
不安 | 3~74 | 2~49 |
参考文献: Moens K, et al. 2014
利尿薬、強心薬などの使用で改善する症状もありますが、そのような治療にも抵抗性の症状がある場合は、がん患者さんと同様に緩和ケアが必要となります。
具体的には、心不全患者さんの苦痛を取り除いて望むような生活ができるようにすることです。
治療抵抗性心不全患者さんへのアドバンス・ケア・プランニング(ACP)/人生会議
アドバンス・ケア・プランニングとは?
アドバンス・ケア・プランニングは、将来起こり得る状態に備えて、事前に患者さん・ご家族もしくはパートナーと受けたい治療やケアを計画しておくことです。
「人生会議」とも呼ばれています。
アドバンス・ケア・プランニングの目的
治療抵抗性心不全の緩和ケアにおけるアドバンス・ケア・プランニングの目的は、万が一に患者さんの意思決定能力が十分でなくなった場合でも、ご本人の意向にそった医療・ケアを行うことです。
将来、病状が進行して患者さんの意思決定能力が十分でないケースがあります。
そのような場合には患者さんの意向を聴くことが難しくなります。
患者さんの意思決定能力が十分でなくなったときでも、ご本人の意向を尊重した終末期ケアを提供するために、今後の治療やケアの目標を一緒に話し合っていきます。
患者さんのご意向に沿った医療・ケアを将来行うことが目的です。
アドバンス・ケア・プランニングの流れ
まず、病状説明と治療・ケアの目標の話し合いを患者さんご本人と行います(ご家族・パートナーの同席もあります)。
具体的には、 下記の通りです。
- 1. 病名と病状の説明をします
- 2. 予想される今後の経過や見通しを患者さんと共有します
- 3. その上で、ご本人の価値観、大切なこと、希望、生活状況や家族関係について話し合います
- 4. これらを踏まえて今後の治療とケアの目標について話し合います
病気の見通しを踏まえて、これからどのように人生を過ごしていきたいかを一緒に考え、計画していきます。
ご自身の意思を伝えていけるように、私たちと共に考えていきましょう。