高血圧とは?
- 診察室で繰り返し測った血圧が、
最高血圧140mmHg以上、あるいは最低血圧が90mmHg以上 - 自宅で繰り返し測った血圧が、
最高血圧が135mmHg以上、あるいは最低血圧が85mmHg以上
の場合を「高血圧」と言います。
高血圧になるとどうなるの?
多くの場合が、症状なく慢性的に経動脈硬化を進行させます。
そして、放っておくと、ある日突然、
- 1. 脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)
- 2. 心臓病(心筋梗塞、急性心不全)
- 3. 大動脈解離、大動脈瘤破裂
などの致命的な病気を発症する可能性があります。
原因
原因は、本態性高血圧と2次性高血圧があります。
本態性高血圧症
年齢とともに高くなる血圧で、原因が特定できない場合に診断がなされます。
高血圧のうち、90%を占め、一般的に「高血圧」という場合は本態性高血圧を指します。
塩分過多、肥満、運動不足、加齢などの環境的な要因と遺伝的な要因により血圧が高くなると言われています。
日本人にとって多い原因は、塩分の過剰摂取です。
また、年齢と血圧の関係で高くなってくる世代は、
- 30代で10%前後
- 40代で18%前後
- 50代で40%前後
の割合で、血圧の異常が起こってきます。
40代~50代で一気に高くなってきます。
2次性高血圧
血圧が高くなるはっきりした原因がある高血圧です。
がんのお薬、腎臓の働きに関連するもの、睡眠時無呼吸症候群、ホルモンの異常分泌(甲状腺機能異常、原発性アルドステロン症など)、妊娠関連高血圧といったものが挙げられます。
治療抵抗性高血圧とは
適切な作用の異なる3つの降圧剤の使用、生活習慣の変更にもかかわらず、血圧が目標値に達しない状態を言います。
治療抵抗性高血圧の原因は一般的には以下の要素が関与している可能性がありますので、突然死や心臓血管死のリスクが高くなりますので、原因を探らなければなりません。
- 塩分過多:食事における高塩分の摂取による高血圧の悪化。
- 内服が遵守されていない:処方された薬剤を正しく服用していない場合。
- 二次性高血圧:ホルモン分泌異常、腎臓疾患や薬物、睡眠時無呼吸症候群などによって引き起こされる高血圧。
高血圧のあぶない症状
高血圧自体で症状を自覚することはほとんどないです。
ただし、「高血圧緊急症」の時は、下のような症状を伴います。
- 1. 頭痛
- 2. 吐き気
- 3. 見にくい
- 4. 意識がボーッとする
- 5. 息苦しい
高血圧緊急症とは
上の血圧(収縮期)が220mmHg以上、または下の血圧(拡張期)が110mmHg以上と血圧が異常に高く、放っておくと、脳(出血)、心臓(心不全など)、腎臓(腎不全)、大血管(大動脈解離など)に急性の臓器障害を起こすきっかけの血圧の状態です。
頭痛などを伴う高血圧に注意しましょう
高血圧は、一般的には症状はなく、ゆっくりと動脈硬化を進展させて、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高めています。
血圧がいつもより高くて、頭痛などある場合は高血圧緊急症の可能性があります。
仮面高血圧とは?
仮面高血圧は、診察室での血圧が正常であっても、家庭などでの血圧が高血圧となる状態です。
通常の高血圧と同じように脳卒中や心臓病になるリスク高いので、積極的な血圧を下げる治療が必要です。
仮面高血圧の中には、早朝高血圧、夜間高血圧が隠れていることが多いです。
早朝高血圧
早朝高血圧は、診察室血圧が正常で、早朝に測定した家庭血圧が高い状態です。
夜間高血圧からそのまま移行して血圧が高くなるタイプと、朝方に急に血圧が上昇するタイプがあります。
夜間高血圧から移行するタイプは、食塩摂取量の増加が影響していると言われています。
朝に上昇するタイプは、血管が締まることが原因で、脳卒中や心筋梗塞のリスクとなります。
早朝高血圧の原因は?
- 1. アルコール・喫煙
- 2. 寒さ
- 3. 起立性低血圧(立ち上がったときに血圧が上がらず、フラフラする)
- 4. 動脈硬化
- 5. 血圧のお薬の作用不足
などです。
夜間高血圧
夜間に家庭で測った血圧の平均が120/70mmHg以上の状態です。
特に、夜間の血圧が少ない(日中と比べて0~10%低下)、夜間の血圧が日中の血圧よりも高くなると、脳、心臓、腎臓への障害をおこし、脳卒中や心筋梗塞のリスクも高くなります。
夜間高血圧の原因
夜間高血圧のリスクとなるのは、
- 1. 心不全
- 2. 腎不全
- 3. 自律神経障害(糖尿病など)
- 4. 睡眠時無呼吸症候群
- 5. 脳卒中の既往
- 6. 認知機能低下
- 7. 抑うつ
と言われております。
白衣高血圧とは?
仮面高血圧に似ている、「白衣高血圧」というものがあります。
白衣高血圧は、診察室血圧が高血圧であっても、家庭血圧が正常な血圧である状態です。
診察室の外や家庭でも高い通常の高血圧と比べて、脳卒中や心臓病になるリスクは高くありません。
しかし、将来、本態性高血圧(通常言われている高血圧)に進行して、脳卒中や心臓病になるリスクを高めることがあるので、よく経過を見ていかなければなりません。
高血圧になってしまったら?
今すぐお薬による治療が必要な状態なのか?それとも、生活習慣を改善して血圧を下げることが期待できる状態なのか?を知ることが大切です。
治る病気ではなく、コントロールしていく病気ですので、高血圧とうまく付き合わなくてはなりません。
必要に応じて、血圧を下げるお薬が必要になります。
高血圧にならないためには?
定期的な健康診断を受けて、血圧をチェックし、健康的な生活を意識し、特に日常から塩分摂取過剰に注意が必要です。
コントロールが大切です
日本人の高血圧患者人数は、4,300万人と言われて、実に日本人の3人に1人が高血圧となります。
心臓病、脳卒中の他にも慢性腎臓病など多くの病気を引き起こすので、きちんとコントロールしましょう。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。