睡眠中に呼吸が10秒以上停止する無呼吸、睡眠中に呼吸が弱くなる低呼吸、それを一晩で何回も繰り返す病気です。
睡眠中に呼吸が止まると、酸素を取り込むことができず、体は低酸素状態となります。
低酸素状態では、体に様々な反応が起こります。
血圧を高くしたり、心臓を頑張らせることで、たくさんの血液を臓器に行き渡らせ、低酸素状態をカバーします。
また、酸素が少ない状態での睡眠では、体や脳の疲れが取れない状態になります。
睡眠時無呼吸症候群になるとどうなるの?
このように、睡眠時無呼吸症候群は、心臓病、脳卒中、糖尿病という命に関わる病気に密接に関係しています。
無呼吸でからだ中の酸素が少なくなり、交感神経が緊張状態になるので、心臓や血管にストレスを与えます。
また、無呼吸や無呼吸後の呼吸再開による急激な酸素の変化は、血液をドロドロにしたり、動脈硬化を進行させたりと色々な反応を起こすので、多彩な心臓や血管の病気の原因となります。
睡眠時無呼吸症候群はどんな症状?
睡眠中に見られる症状
- いびき
- 途中で目が覚める
- 手足を激しく動かす、顔や胸を手でこする
- 歯ぎしり
- おしっこの量が増えて、頻尿になる
寝ているときの症状を自分で気付くことは難しいです。
ご家族から「いびきがうるさい」と指摘されることで見つかることが多いです。
いびきを指摘されたときは検査してみましょう
いびきは家族やパートナーに迷惑をかけるだけでなく、重大な病気を引き起こしたり、重大な事故を起こしたりする可能性があります。
いびきを周りから指摘されたら、睡眠時無呼吸症候群か一度検査することをお薦めします。
昼間に見られる症状
- 朝起きると頭痛がある
- 居眠り、眠気
- 集中力の低下
- 作業効率の低下
- 疲れが取れない
症状が長期間にわたると昼間の集中力や注意力が散漫となり、居眠りなどによって思わぬ事故を起こしやすくなります。
また、ずっと放っておくと、脳卒中、心筋梗塞をある日突然発症する危険が3~5倍上昇するとされています。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群の原因は、大きくは以下の2つがあります。
- 寝ている時に空気が通る気道が狭くなる状態(閉塞性)
- 寝ている時に脳が呼吸する命令を出さなくなる状態(中枢性)
閉塞性とは?
睡眠時無呼吸症候群の原因で最多となるのは、閉塞性によるものです。
睡眠中に呼吸をしている時、脳からは呼吸の命令が出ているので、胸郭とお腹は動いて肺を膨らませようとします。
しかし、口および鼻など気流の通り道が狭くなってしまい、無呼吸状態になります。
このような状態になりやすい要因
このような状態になりやすいのは、肥満と解剖学的な要因です。
- 肥満によって、首周りに脂肪がついて、横になると重力で気道を圧迫します。
- 下の顎の発育不全や、扁桃腺が大きかったりすると、横になった際に重力で舌の根元が落ち込んで気道を狭くします。
- その他、鼻炎や鼻中隔偏位などがあります。
中枢型とは?
睡眠中、呼吸の司令塔である延髄が呼吸する命令を出さないことで呼吸する筋肉が動きません。
胸郭、お腹が動かず、気流も止まって、3つ全て止まります。
脳神経の病気、心不全、腎不全が原因です。
原因で多いのが慢性心不全です。
慢性心不全患者の75%が中枢性睡眠時無呼吸症候群を合併し、死亡率を約2倍高くするとされています。
睡眠時無呼吸症候群の増悪する要因
閉塞型、中枢型のいずれも、過度のアルコール摂取、睡眠薬の使用は増悪する要因となります。
睡眠時無呼吸症候群の治療とは?
睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、きちんと治療を受けて心臓病や脳卒中を予防しなければなりません。
生活習慣の改善が大切
病状を悪くする要因を減らすことが大切です。
特に肥満が原因であることが多いので、下記の点を意識するとよいでしょう。
- 減量
- アルコールを控える
- 仰向けではなく、横向きで寝る
- 睡眠薬を控える
睡眠時無呼吸症候群の治療
経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)
中等症~重症の場合は、第一選択の治療となります。
睡眠中にマスクから強制的に空気を送り込んで狭くなった気道を広げて酸素の値を上げます。
この治療を行うことで、脳卒中や心筋梗塞など病気のリスクを病気がない人と同じ程度に下げることができます。
マウスピース
マウスピースを装着して気流の通り道をよくしますが、CPAPと比べると効果は劣ります。
したがって、第二選択の治療となります。
外科的手術
扁桃腺が大きいなどの解剖学的な要因に対しては、手術を行うこともあります。
また、肥満によって気道が狭くなったことが原因の場合は、喉の奥を手術する場合もあります。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。